流浪の月のあらすじ
9歳の少女・更紗(さらさ)は、引き取られた伯母の家にらず、雨の降る公園でひとり時間を過ごしていた。
そんな彼女に、孤独を抱えた大学生の文(ふみ)が声をかけ、自宅に招き入れた。
文の家で過ごすうちに、伯母の家を離れ、自分が心から安心できる場所を見つけたと感じる更紗。
しかし、ある日文が誘拐犯として逮捕されてしまい、二人の時間は終わりを迎える。
15年後、恋人との同棲生活を送っていた更紗は、偶然にもカフェを営む文と再会することに。
流浪の月を読んだ感想
凪良ゆうさんの作品の中で、私が最も好きな一冊。
小児性愛者と少女、誘拐犯と被害者という構図によって、苦しめられる二人。
見ていて辛いものがありましたが、流石凪良ゆうさん、大変引き込まれる文章力でした。
やさしさと思って投げたそのボールは、実は狂気となって誰かを傷つけているのかもしれない。
作中の更紗が抱える、「世間にわかってもらえない辛さ」と「やり場のないはがゆさ」には強く共感し、読んでいて胸が締め付けられる思いでした。
当事者の周囲の人たちが、実は自分が人を傷つけていることにすら気づいていないことが、第三者から見てとても辛かったです。
自分も無意識下で、誰かに同様の事をしてしまっているのではないかと思うと情けない気持ちになりました。
さらに、作品の後半、更紗がついに孝弘(伯母の息子)からの性的暴行を口にできた時は本当に爽快でした。
これまで更紗が、自身が性的暴行を加えられていたことを言えず、世間からは文が獣扱いをうけていることが不快でたまらなかったので、最終的に本当の犯人が知られたことはとても良かったです。
ただ、個人的には更紗の本当の被害が、これまで同情の言葉をかけた人たちにも知られ、自分のこれまでの行いを顧みるシーンがあるともっと爽快だったと感じました。
驚いた点
文は小児性愛者だが、自分には一切手を出さなかった。
更紗が15年間信じ続けてきた真実。
しかし実際は、文は小児性愛者ですらなかった。
私が最も驚いた場面です。
読者として、更紗の視点で物語を追い、この事件においては自分は事実を知っていると思っていたのにもかかわらず、更紗も、読者も、「本当の事実」を誤解していた。
結局何が事実かなんてわからない。そう痛感させられました。
更紗のお父さんは絶対かっこいい
作中で、文はかなりきれいな顔という表現をされていたのでイケメンであることは間違いないのですが、個人的には更紗のお父さんも絶対にかっこいいと踏んでいます。
更紗のお母さん曰く横顔がきれいな人らしいですよね。
私も更紗のお母さんに全く同感で、鼻がきれいな人が大好きなので、更紗のお父さんはかっこいいと思っています。
さらに言うと、個人的には更紗のお母さんとお父さんの関係が、描写が少ないながらとても刺さりました。
自由奔放で我慢することがないお母さんと、まじめできちんと人付き合いもするお父さん。
しかし、つまらないことが大嫌いなお母さんが、生真面目で一見つまらないと思われそうなお父さんにゾッコン。
この何とも言えないギャップが、たまりませんでした。私もこんな結婚がしたいと思いながら読んでました。
心に残った文
亮くんがそう言ったとき、わたしは内心で首を傾げた。
わたしは、一体、何を許されるんだろう。
許されるべき罪を、わたしはなにか犯したんだろうか。
更紗が、亮との結婚を、家族から許してもらえるはずだと告げられたことについて更紗が考えているシーン。
確かに、そもそも結婚の話を知らなかった更紗から言わせてみれば、なぜ聞いてもない結婚をする前提で、自分が恋人の結婚相手として足る人間か許されなければならないのだろう。
結婚が文脈の話だと、比較的よくつかわれる言葉ですよね。
普段何気なく疑問も持たない言葉だけど、複雑な環境を乗り越えた更紗だからこその思考回路だと思い、とても興味深かったです。
しかしよく考えれば、私も学生の頃によく思っていたことでした。
例えば学校校則。
いくら寒くてもコートは校内着用禁止、ポニーテールはOKだけどお団子は禁止等々…。
ばかばかしすぎて守らずにいると、まるで大犯罪者のような扱いを受ける。
謝るまで、反省の色が見えるまで、罰をうけなければならない。
そのたびに、「私は一体どれほどの罪を犯したというんだろう。」
「なぜこの人たちに、私の自由を許されなければならないんだろう。」
そう感じ軽い絶望を味わっていたことを思い出しました。
まとめ
みなさんは凪良ゆうさんの作品は好きですか?
私は凪良ゆうさんの文章がとても好きなので、どの作品もその世界観に引き込まれます。
ぜひ閲覧したことのない方は手に取ってみてはいかがでしょうか。
きっと他の作品すべてが見たくなるほどに魅了されるはずです